TEA BREAK ≪RADIO EVA≫ ②

TEA BRAKE

-RADIO EVA- ②


「EVA T BREAK」とは、EVA Tシャツに関わったスタッフに、EVA Tシャツに込めた熱い思いや、EVAの個人的な体験を語っていただく特集企画。
第一回目の記念すべきゲストは、EVANGELIONの公式ブランドとして、商品作りからイベントの仕掛けまでプロデュースしている、RADIO EVAの武藤祥生(むとうよしお)さんです。


RADIO EVAのスタートアップについてのお話は、PART①で


- ここから、いよいよ本題のTシャツについてお聞きたいのですが、まずは、自分がディレクションしたTシャツの数がどのくらいあるかご存知ですか?

 正直言ってわかりません(笑)

- RADIO EVA全体では現在、発売した商品が270アイテムぐらいですか?(RADIO EVAは商品アイテム毎に通しナンバーが付いている)

 そうですね、300に近づいていると思います。

- その中で、Tシャツが商品として一番多いと思いますが。

 Tシャツというのは、メッセージが載せ易く、メディア的な要素が強いので、それだけに多く手がけています。それに、私自身のスキルからいうとアパレルの経験がないため、商品そのものに力をいれるのではなく、メッセージをエディットとして、その表現としてファッションを手がけているので、そういう点からも、Tシャツというのはアプローチがしやすいですしね。但し、そのTシャツという枠組みの中では、製造の技法とかも、できるだけ新しいものを意識的に取り入れて行きました。

- RADIO EVAの中で、武藤さんが印象に残るTシャツはどれですか?

 大ヒットしたという点では、THE BEASTですね。思い入れという点では、リボルテックの100体記念で作ったフォトプリントのTシャツが印象に残っています。もう一つはエヴァクリ展(※2)で作ったTシャツなんかは、完全にEVAからかけ離れている。『EVAのNERV』と『フリクリのFLCL』という文字を重ねてあるだけのTシャツですが、これはデザイナーとかなり面白いやりとりをしながらできあがった、偶然の産物のようなTシャツです。ちなみに、今回持ってきたのは、スタッフ用のグレーのボディのものです。

※2 *エヴァクリ展について
2010年渋谷パルコを中心にパルコの各地で行われた『ヱヴァクリ展@PARCO』の事。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」と「フリクリ」。この2作品は共に鶴巻和哉氏が監督を努めていることから、作品の垣根を越えたコラボイベントとして実現した。

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- これは売れました?

 厳しい質問ですね(笑)大ヒットとはいきませんでしたが、それなりでした。ただ、新しい素材やプリントにこだわるという挑戦はしました。また、このデザインは、背中も面白くて、後ろに、NERVとフリクリのマークがついているのですが、なぜここにつけたかというと、肩甲骨に刺青をしている女性がいて、それがかっこ良かったいう理由です。

- 実に直感的ですね(笑)

 ちなみに、この時に作った、肩甲骨のNERVマークは、のちにランチバッグのバッジとして使われて、大ヒットしました。ただ、これは、あくまでフリクリのP!(※3)のマークがあったので、そのバランスとして考えて出来上がったもので、折角作ったんだから、何かに使おうという事でバッグに使った、ある意味偶然に近い産物なんですけどね(笑)

※3 *P!マーク
『フリクリ』に登場する謎の女性・ハル子の愛車ベスパに貼られたマーク。

- この肩甲骨のマークは背中にあるからいいですが、表側にあると、微妙なポジションですよね(笑)

 それから、思い入れが強いのが、このリボルテックの記念Tシャツです。このフォトのモデル深雪ちゃんという女性なんですが、彼女の存在自体がRADIO EVAの象徴的な所があり、その彼女が、キャラクター商品の王道である、フィギュアを持って遊んでいるだけという所が、まさに、ストレートでもあり、また、極めて隠喩的な感じがして、自分の仕事としても印象深いものになったと思います。また、このTシャツは背中側が100体のリボルテックの名前になっているんですが、それはロックのツアーTシャツのイメージで作ろうと言って作ったものです。そして、何よりも思い出深いのは、あこがれの海洋堂さんと一緒に仕事ができた事です。

- 海洋堂さんとのコラボ(※4)といえば、ヘビメタっぽいやつもありましたよね。

※4 *海洋堂とのコラボ
2010年にリボルテックヤマグチ100を記念して作られたTシャツRADIO EVAからはフォトTが、 EVA STORE からは初号機をモチーフにしたイラストのTシャツが発売された。共に、武藤さんのディレクションによるTシャツ。

 そうそう、あれもかっこいいし、気に入ってます。あれはEVA T STORE限定のTシャツとして作ったものです。うちの甥っ子がまだ小学生ですが、あのTシャツが好きですね。

- かなりインパクトのあるTシャツですよね。それで、もう一枚がTHE BEAST。

 これは完全に言葉遊びですね。

- これは、ぱっと見に、どうしても、4人組の英国バンドを想起するんですが

 それは、全く関係ありませんね。私は、英国のバンドは詳しくないんで(笑)。

- 笑いながら言っても説得力はありませんよ(笑)

 ただ、これはあくまで、「モード反転!ザ・ビースト!!」というマリのセリフそのものをどうしたら視覚化できるか、かっこよくなるかという事を考えてデザインしたものです。何よりも、このセリフと場面が、『破』の中でも印象的ですから。そんなのありかよ!っていうぐらい(笑)
さらに、このTシャツが、RADIO EVAの商品としてヒットした後に、セガさんのプレセント用のTシャツを作るお話があって、それなら、新しいのを作るのではなく、このヒットしているデザインを、セガさんのコーポレートカラーで作ることを提案しました。最初は黒ボディの案もあったのですが、コーポレートカラーに合わせるために白ボディにしたら、結果、大好評でした。

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- なるほど、そういう意味では、RADIO EVAはブランドさんとのコラボをいくつもやってきていますが、これは、まず、RADIO EVAのデザインありきで、そのデザインを企業さんとのタイアップに落とし込むという逆のパターンが確立したわけですね。

 そうです。これ以降、段々と、企業さんのEVA商品をRADIO EVAがデザインするという事が増えて行きました。そういう意味でのターニングポイントのTシャツでもあると言えます。

- それでは、最後に、これからもRADIO EVAのディレクターとして、多くのTシャツを手掛けていかれる事と思いますが、どういう切り口で取り組んで行きたいと思っていますか?お話頂ける範囲で結構ですので、お願いします。

 まず、その前にRADIO EVAは、次の段階に入ってきています。というのは、今までは、私ひとりでディレクションをしてきましたが、これからは、複数のディレクターを立てて、様々な方向性の商品を作って行きますので、そういう意味では、従来にないタイプの商品もどんどん出てくると思って期待してください。その中で、私としてやりたいのは、Tシャツ限定という事ではないのですが、商品そのもののデザインのオリジナリティがあるものや、オリジナリティの強いブランドさんに、RADIO EVA的なアプローチを提案して、また従来とは違う商品を送り出したいですね。

- 本日はありがとうございました。引き続きご活躍される事を期待しています。

 こちらこそ、ありがとうございました。